窓から見える日本海と小さな漁港。海のそばの暮らしと時間を感じる『小さい港のゲストハウス』

窓から見える日本海と小さな漁港。海のそばの暮らしと時間を感じる『小さい港のゲストハウス』

物件に惚れ込み宿をオープン

能登半島の先端の町、珠洲には、大小さまざまな宿があり、ロケーションや供される料理がそれぞれ個性豊かなので、宿選びは珠洲を訪れる楽しみのひとつ。
今回訪れた「小さい港のゲストハウス」は、珠洲市の日本海側にある小さな港町、長橋町にある。宿を営むのは坂本市郎さん、信子さんご夫妻。お二人は珠洲市内の三崎地区で古民家レストラン「典座(てんぞ)」を営みながら、2012年にこの「小さい港のゲストハウス」をオープンした。元々、とある企業の社員宿舎として利用されていた、海沿いに建つうすピンク色の家。そこが、空き物件として出ているのを見つけ、ロケーションに惚れ込み、「ここで宿をやろう」と即決したという。

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「小さい港のゲストハウス」前の道。真っ黒な能登瓦の家々が並ぶ。

宿の玄関を入ると、1階には畳敷きの広間とキッチン、そしてお風呂とトイレ。2階には4室の和室のほかに、みんなで集まってくつろげる角部屋がある。そこからは日本海が見渡せ、何隻かの漁船と船小屋を眺めることができる。
船小屋の中では、漁を終えた老夫婦が、翌朝の漁に備えて網の修繕をしていて、地元の暮らしの風景が垣間見れた。

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海を望める畳の広間。晩ごはんも朝ごはんもこちらで。

海を眺めながら御膳でごはん

日がまだ長い7月の下旬の、夕日が差し込む1階広間。窓は開放されていて、爽やかな海風を浴びながら晩ごはんをいただいた。出てきた料理は、奥能登のおもてなしを象徴する、御膳料理。奥能登では、夏から秋にかけて集落ごとに「キリコ祭り」が行われ、祭りが行われる集落では親戚や親しい友人を家に招き、ご馳走と酒でもてなす「ヨバレ」という風習がある。「ヨバレごっつぉ」(ヨバレのごちそうを意味する)は一人一人に御膳で出すのが基本。この日いただいた料理は、そんな「ヨバレごっつぉ」に即した献立てになっていた。刺身や煮しめ、酢の物など、地元の食材を使った8品にお腹も心も充たされた。

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御膳に乗り切らないくらいの海の幸、山の幸を堪能

晩ごはんに舌鼓していると、「スミマセーン」と玄関から声が。午後7時ごろ、フランス人の女性がこの宿を目指して一人、レンタカーに乗ってやってきたのだ。事前に予約はしていなかったようだが、「大丈夫ですよ」と坂本さんご夫妻。結局、ごはんも一緒に食べ、同じ屋根の下、交流できたのも今回の良い思い出になった。

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客室の様子。朝は鳥と虫の声で目が覚めた

文:堀内明 写真:NON-GRID Inc.

【小さい港のゲストハウス】
石川県珠洲市長橋町11
電話: 0768-88-2657
1泊1名 素泊まり 3.000円(税別)
朝食 700円(おにぎり、お味噌汁、焼き魚など)
夕食 3,000円(季節の海の幸、山の幸を盛り込んだ料理)
御膳希望の場合は要予約
ウェブサイト:http://tenzosakamoto.blogspot.jp/p/blog-page_31.html

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